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大会長挨拶
第54回長野県理学療法学術大会
大会長 鵜飼 正二
(社会医療法人財団慈泉会 相澤病院 リハセラピスト部門)
この度、第54回長野県理学療法学術大会を2025年6月21日(土)・22日(日)の2日間、松本市のキッセイ文化ホールで開催する運びとなりました。学会の開催形式は、今年度もハイブリッド形式での開催を予定しております。
本学会の開催年は、団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者になるいわゆる「2025年問題」の入り口の年を迎え、高齢者人口急増への対応が今後より一層求められることとなります。高齢者は多疾患併存状態であることも多く、重複する疾病や障害を抱えた状態での生活を支援するためには、生活背景から個人の「価値観」まで様々な点に配慮して医療を提供することが求められます。そのため、ポスト2025年の医療提供体制としては、「治す医療」から「治し・支える医療」への転換が注目され、個別のニーズに寄り添った柔軟かつ多様な医療・介護・福祉の提供が今後必要となります。
これらを背景に、本学会のテーマは「価値に基づく理学療法(Values-Based Pysical Therapy)の実践」といたしました。本テーマは、「価値観」を軸としながら臨床上の意思決定を最適化するための方法論として英国のFulfordにより提唱された「価値に基づく医療(Values-based Practice)」を参考にしたものです。EBM(Evidence-based Medicine)のStep4にもありますが、これからの「治し・支える医療」を実現するためには、理学療法のエビデンスは追い求めつつも、それぞれの「価値観」に配慮し対象者と対話を重ね続けることが大切になります。本学会が、対象者の生活や人生を支えるための理学療法のあり方について再考するきっかけになればと考えております。
また本学会は「長野県内の理学療法士が交流しつながりを作る場」をコンセプトにしたいと思っております。日本理学療法士協会の学会は、2018年以降それぞれの専門分野ごとでの開催となりました。これは、理学療法の職域の広がりと各領域におけるエビデンスの確立を求められてきた背景があり、理学療法の発展のために必要であった一方、理学療法士が一堂に会する機会が失われることにもなりました。今後さらに複雑化する対象者の病態を適切に捉え多様化するニーズに応えるためには、様々な専門性を持つ理学療法士が集まりつながることが必要だと感じています。最先端の研究や知識は文献検索や全国学会へ参加することで学べるかもしれませんが、同じ地域の対象者を診る近隣施設の取り組みを知り、同じ地域の資源を使った改善活動を共有してディスカッションできるのは「県学会」でしかできないことだと考えます。県内の理学療法士の皆様におかれましては、ぜひ現地参加いただき良いつながりを作る機会にしていただければと思います。
第54回長野県理学療法学術大会へのご参加、心よりお待ちしております。